大阪地方裁判所 昭和38年(ワ)5043号 判決
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〔判決要旨〕一、手形の支払場所は支払地内で具体的に支払をなすべき場所であるから、支払場所は必ず支払地内にあることを要し支払地内にない支払場所は支払場所としての効力がない。
二、右の場合振出人において定めた支払場所に手形所持人が支払のための呈示をした場合振出人からみずから指定した支払場所への呈示を無効であると主張することはできない。
三、右の場合その呈示は裏書人に対する関係でも呈示としての効力を有する。
〔判決理由〕(被告立石に対する請求について)原告主張の請求原因事実は民事訴訟法第一四〇条により被告立石において自白したものとみなされる。ところで、原告主張の手形には支払地として「大阪市」、支払場所として「株式会社近畿相互銀行泉佐野支店」と記載してある。この「株式会社近畿相互銀行泉佐野支店が大阪府泉佐野市にあることは明らかである。そして支払場所は支払地内で具体的に支払をなすべき場所であるから、必ず支払地内にあることを要し、支払地内にない支払場所は支払場所としての効力を欠くものであるが、しかし、振出人において定めたその支払場所である銀行に手形所持人が支払のための呈示をした場合、振出人からは、みずから指定した支払場所への呈示をもつて無効であると主張することはできないものと解するから、右支払のための呈示も、呈示の効力を有するものというべきである。けだし約束手形における支払場所の指定に利害関係をもつのは手形所持人と振出人であり、かかる支払場所への呈示はむしろ振出人の便宜に適するものだからである。したがつて本件においても原告の右支払場所にした右手形の支払のための呈示は有効といわなければならない。
(被告川島に対する請求について)原告がその主張の約束手形一通を所持していることは当事者間に争いがない。被告川島は右手形の裏書を争つているので判断するに、甲第一号証(約束手形)第一裏書人らん記載の被告川島名下に押捺の印影が同被告の印章によるものであることは同被告の認めるところであり、証人行沢ふみ子の証言によれば該印影は同被告の意思にもとづいて顕出されたものであることが認められるから、右甲第一号証の被告川島関係部分は真正に成立したものというべく、しこうして、右甲第一号証によると被告川島は右約束手形に拒絶証書作成義務免除のうえ裏書したものと認めることができ、その反証はない。
そして、甲第一号証によると、原告はその主張の経過で右手形の所持人となつたものであること、原告は、法定の呈示期間内である昭和三八年六月一七日に右手形と支払場所に支払のため呈示したが支払を拒絶されたことは認めることができる(右支払場所は支払地内に存在しないのであるが、右支払場所にした支払のための呈示も前記判示のとおり、呈示の効力を有すると解する)。
してみると被告川島は右手形の裏書人として、原告に対し、右手形金を支払うべき義務があるものといわなければならない。(坂詰幸次郎)